どんなに理解し合った人でも、その心をありのままに感じとるということは、なかなか難しいのではないでしょうか。自分自身の心でさえ、ままならない私たちであります。
 浄土宗の根本聖典である『無量寿経』のなかに、「無有代者」という真実のことばがあります。この世間のなかに私たちは、もがきながらも自分自身を生きています。その自分自身≠ヘ、代わる者あること無し(無有代者)です。つまり、私の人生の代役はいないということです。それぞれ人は、かけがえのない一生を生きています。
 人が生きてゆくには、他者と関わっていかなければ生きてゆけませんが、同時に他者と完全に分かち合うということができないのも私たちの在り方です。この在り方を肝に銘じつつ、お念仏の日暮しを送りたいものです。
(2013年9月)
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