札幌は、まだまだ雪に覆われ、寒い日々がつづいていますが、次第に日も長くなり、少しずつ春にむかっています。この時季は、大地が雪に覆われて歩く道が、わからなくなったり狭くなったりして、とても難儀します。その道も、春になると、雪が解けこんなに広い道だったんだ≠ニふと思うことがあります。
 ところで、私たちの人生の歩むべき道も、雪道のように困難なものではないでしょうか。進むべき道が、見つからず迷っているのが、私たちの姿です。それはまさに、雪に覆われて道がわからなくなってしまうように、私たちの心の闇が人生の進むべき道を見えなくしまっているのです。善導大師(613〜681)は、「すでにこの道あり」と強く私たちを励ましてくださっています。人生の道は、すでに私の足元に開かれていたのです。その開かれた道を、怒りや愛憎によって、実は私たち自身が閉ざしてしまっていたのです。
 生のみにスポットライトがあてられる現代の風潮ではありますが、生も死も含めて私たちの人生です。生も死も見つめた生き方が、善導大師のお示し下さった「この道」であると拝察いたします。
(2016年3月)
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